「え?何ですか?もう一度おっしゃってみて下さい」

 稽古場を予約する時なんかに、OOPS(谷口・牧島・中村が所属していたタッタタの母体)の頃はよく聞かれたもんです。
 「オップス」とか「オーオーピーエス」なんて呼ばれたりもしました。
 そのたびに顔を赤くしながら「あのー『ウップス』なんですけど・・・」と訂正したもんです。
 すると、
 「へーそうなの。で、どういう意味?」
 なんて、またも答えるのが恥ずかしい質問をされたりして。

 劇団をリニューアルするに当たって、一番気を使ったのは名前です。
 上に書いたようなことは二度とないようにしよう。
 誰もが一度聞いてすぐに覚えて、すんなり納得するような名前にしよう。
 決して名前の響きでウケを狙ったりすることのないように。

 1998年9月。劇団発足を一ヶ月前にして、谷口、牧島、中村の3人が東船橋の谷口宅で劇団名会議を開きました。谷口の奥さん・かおりさんと、愛娘・ありさちゃんも同席します。

(前略)

 「ねえ、『マンション』ていいと思わん?例えば『賃貸マンション』」
 「(笑)『劇団賃貸マンション』!なんや、それ」
 「お、いいな、それにしようか」
 「ちょ、ちょっと待って下さい。それだと略したときにマズくないですか?」
 「ん?略すと、ちんま・・・・・・・マズいな」
 「じゃ、えーと。この3人の共通の趣味で特色を出すってのは?」
 「となると、釣りか・・・釣り釣り・・・」
 「『船橋サルカン娘』ってのはどうでしょう」
 「(爆笑)お前それ、おもろいけどカッコ悪いぞ。大体『ムスメ』てなんやねん!」
 「えー、とりあえず『探検』って言葉は入れたいな。」
 「『探検』かあ。すると『探検隊』?それじゃ面白くないよね」
 「『組合』ってどうです?『○○探検組合』」
 「あ、それいいね。あ、ありさ!その紙食べちゃダメ!!」
 「『○○探検組合』の線で行こうよ。例えば『ラララ探検組合』
 「(爆笑)おもろいな、おっさん。でも『ラララ』って、意味ないやん!」
 「いや、楽しげで良いかと思って」
 「おもろいけどもやね」
 「じゃ、『ルルル』」
 「(爆笑)いや、もう、ええから」
 「同じ音3つに続けて『探検組合』って線は良いかも知れないですね」
 「他におもろい音ないか?えーと『アアア』『イイイ』・・・」
 「(冗談のつもりで)『タタタ』だと、セリフ噛んでるみたいで面白くないですか?」
 「(爆笑)『僕たち、た、た、たたた探検組合です』ってか?」
 「それいいな。じゃいっそ『タッタタ』にしたらもっと緊張してる風でいいかもよ」
 「(爆笑)『タッタタ探検組合』か。いいね」
 「いや、僕はどっちかというと『船橋サルカン娘』の方が・・・」
 「あれはボツ。おもろいだけやんか」
 「いや、これだっておもろいだけ・・・」
 「よし、決まった。『タッタタ探検組合』に決定!」
 「あー、ありさ、その紙食べちゃダメだって!」

 こうして、やっぱり安易に決まってしまった劇団名。でも今ではかなりのお気に入りです。

「(びくびくしながら)あのータッタタ探検組合ですが稽古場の件で・・・」
「え?何ですか?もう一度おっしゃってみて下さい」